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閉店費用

「294万円払って店を壊す」が、当たり前でいいのか。

中村裕二(BRIDGE CYCLE株式会社 代表・認定経営革新等支援機関)|2026年8月24日 初出・10月10日 更新

20坪ほどの飲食店でも、閉店のときの原状回復工事は数百万円になることがあります。相談の現場で実際に見た例は、294万円でした。まだ使える厨房とカウンターを、お金を払って壊す。その前に、一度だけ「誰かに渡せないか」を考えてください。

閉店すると、お金を払うことがある

賃貸の飲食店は、退去するときに内装や設備を撤去し、借りたときの状態に戻す「原状回復」を求められることがあります。スケルトン(コンクリートむき出し)で借りた店なら、厨房、カウンター、天井、床、排気ダクトまで、すべて取り払うのが基本です。

工事費の目安は、業種と広さでおおよそ決まります。原状回復費用の計算ページでは、業種と坪数から30秒で目安を出せます(匿名・入力は送信されません)。

2,500万円かけた店が「マイナス294万円」で終わる

たとえば、内装と設備に2,500万円をかけた店を考えます。閉店のときに294万円の原状回復費を払えば、つくった店を壊したうえで、さらにお金が出ていきます。

一方で、その店をそのまま使いたい人が見つかれば、厨房機器、カウンター、内装、看板、什器を次の人に引き継げる可能性があります。工事がいらなくなるだけでなく、内装と設備を譲った分の代金が入ることもあります。「壊す店」が「引き継がれる店」に変わる。これが退店前承継の考え方です。

「居抜きで売ればいい」と言えない理由

難しいのは、売ることそのものより、売ると決めるまでです。営業を続けながら迷っている店主は、常連さん、従業員、取引先、金融機関、大家さんへの影響を考えて、閉店を口にできません。

その結果、限界が来てから解約を申し出ることになります。その時点では、退去の日も原状回復工事の日程も決まっていて、次の人を探す時間が残っていません。

店を一番いい状態で渡せる時期と、閉店を一番言いにくい時期は、どちらも「まだ営業している今」です。この二つのずれが、まだ使える店が壊される理由です。

閉めると決める前に、匿名で相手を探す

BRIDGE CYCLEでは、店主が店名を伏せたまま、お店を無料で登録できます。一覧に載るのは、エリア、業態、広さ、設備、時期、希望額、今の家賃の目安(任意)だけです。店名や場所を伝えるのは、当社が自己資金を確認し、秘密を守る誓約をした相手だけです。

「まだ閉めると決めたわけではないが、引き継ぎたい人がいるなら話してみたい」という段階から使えます。登録と掲載は0円です。当社が成約まで支援した場合だけ、成約時に料金をいただきます(店を閉める方のページに載せています)。

すべての店が渡せるわけではない

場所、設備の状態、家賃、大家さんの承諾、相手の資金。条件が合わなければ、承継は成り立ちません。それでも、壊す前に一度は探してみることが当たり前になれば、残る店は増えます。「閉める」と「続ける」のあいだに、「渡す」という選択肢を置いておいてください。

よくある質問

閉店のとき、原状回復は必ず必要ですか

賃貸借契約の内容によります。スケルトンで借りた店は、退去時にスケルトンに戻す契約が一般的です。次の借り手が内装や設備をそのまま使うことを大家さんが認めれば、工事がいらなくなることがあります。

まだ閉めるか決めていなくても登録できますか

できます。時期は「まだ決めていない」で登録できます。店名は一覧に載りません。

登録したことが常連さんや従業員に知られませんか

一覧には店名や番地を載せません。店名を伝えるのは、当社が自己資金を確認し、秘密を守る誓約をした相手だけです。

自分の店を閉めたらいくらかかるか、渡せたらいくら残るか。匿名・30秒で比べられます。

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この記事は、noteに掲載した記事(2026-08-24)を、サイト掲載にあたって加筆・修正したものです。料金や仕組みは、2026年10月時点の内容に合わせています。

書いた人:中村裕二BRIDGE CYCLE株式会社 代表取締役。商工会の経営指導員として約20年、500社を超える創業・承継・閉店の相談に関わる。2026年に滋賀県大津市で独立。国の認定経営革新等支援機関。